今回は理事会の会議について。コンサル時代に培ったファシリテーション術なども埋め込んでいます。
平日の夜、貴重な休日。時間を削って集まったのに、理事会が終わると「結局、何が決まったんだっけ?」となる。そんな経験は珍しくありません。
でも、会議が長い理由は“議論が多いから”ではなく、説明と前提合わせに時間が溶けているからです。
この記事では、理事の能力や熱量に頼らず、会議の型だけで「短く、決まる理事会」に近づける方法を、テンプレ付きでまとめます。
会議が長い理事会セルフ診断(5問)
まずは現状チェック。YESの数を数えてください。
- ① 議題や資料が「当日」または前日ギリギリに出てくることが多い
- ② 会議の冒頭で「まず資料の説明から」になりがち
- ③ 会議中、「それって何の話だっけ?」と前提確認が何度も入る
- ④ 途中で脱線し、戻すのに時間がかかる/次回持ち越しが多い
- ⑤ 終了後、「決まったこと」「担当」「期限」が曖昧なまま終わることがある
判定の目安
- 0〜1個:型はだいぶ整っている(微調整でさらに短くなる)
- 2〜3個:会議前の設計を変えるだけで大きく改善できる
- 4〜5個:人ではなく“仕組み”の問題。型を入れると一気に楽になる
理事会が長くなる“ありがちな3パターン”
パターン1:ぶっつけ本番(当日初見資料)
会議が長い理事会の多くは、**会議が「説明の場」**になっています。
当日初めて見る資料を、会議中に読み、説明を聞き、質問をして…となると、それだけで時間が溶けます。
会議時間が長いのは「議論が多い」からではなく、
“理解に必要な時間”を会議内で支払っているから。
パターン2:前提ズレ(理解度が揃っていない)
同じ資料を見ていても、
- 仕事柄わかる人
- 初めて関わる人
- 専門用語が苦手な人
が混ざるのが理事会の普通です。
このズレを放置すると、会議中に前提確認が何度も入り、説明が繰り返されます。
結果、“合意形成の前の理解合わせ”に時間を奪われます。
パターン3:「今回決めたいこと」が曖昧
これが一番強い原因です。
- 何を決める会議なのか曖昧
- どこまで決めれば今日は終われるのか不明
- だから脱線しても止めづらい
- 最後に「じゃあ次回で…」が発生する
会議が長い=「話が長い」ではなく、
ゴールがないから終われない、が本質だったりします。
会議を短くするのは「会議中」じゃなく「会議前」
会議中にファシリテーションを頑張るより先に、会議の入口を整えるのが効きます。
事前共有の最低限セット(これだけで変わる)
会議前に揃えるのは、完璧じゃなくていいです。最低限これ。
- 今回の議題
- 背景(なぜ今やるのか)
- 資料(どれを見ればいいか)
- 今回決めたいこと(今日のゴール)
- 事前質問の締切(当日説明を減らす)
テンプレ:会議前に送る「事前共有メッセージ」(最小版)
【理事会事前共有】◯月◯日(◯)◯:◯〜
■今回の目的(今日のゴール)
- (例)修繕工事Aについて、実施可否と進め方を決める
■会議で扱う議題(全◯件)
1. (議題名)
2. (議題名)
3. (議題名)
■各議題の“決めたいこと”(ここ重要)
- 議題1:今回は「◯◯を決める」
- 議題2:今回は「◯◯を決める」
- 議題3:今回は「◯◯を決める」
■事前に見てほしい資料
- 資料A(リンク/添付):見てほしい箇所→P◯〜P◯
- 資料B(リンク/添付):見てほしい箇所→◯◯
■事前質問(当日“説明だけで終わる”のを防ぐため)
- 気になる点/懸念/追加で知りたいことがあれば、◯月◯日◯時までに返信(またはコメント)ください。
コツ:資料を全部読ませようとしないでOK。
「見てほしい箇所」を指定すると、読まれる確率が上がります。
脱線を減らす鍵:議題を「4ブロック構造」にする
会議が長い理事会は、議題が“話題”として置かれていることが多いです。
議題を次の順で置くだけで、脱線しにくくなります。
背景 → 選択肢 → 論点 → 決定
- 背景:前提を揃える(長文禁止)
- 選択肢:比較の土台を作る(最低2案)
- 論点:迷う場所を先に並べる
- 決定:今日のゴールを固定する
テンプレ:議題テンプレ(背景→選択肢→論点→決定)
【議題】(議題名)
■背景(なぜ今これを扱うのか)
-
■今回決めたいこと(今日のゴール)
-
■選択肢(最低2つは置く)
- 案A:
- 案B:
- (案C:)
■比較の観点(価格だけにしない)
- 例:費用/工期/住民影響/リスク/管理の手間/将来の拡張性
■論点(迷いどころを先に並べる)
- 論点1:
- 論点2:
- 論点3:
■判断に必要な資料・情報
-
■事前に欲しい質問(当日説明を減らす)
-
「質問ください」だけだと集まらない:事前質問フォーマット
事前質問が集まると、当日“説明”が減ります。
ただ、自由記述だと集まらないので、型を渡します。
【事前コメント欄(コピペでOK)】
1) 気になる点(理解できていない点):
2) 懸念(起きそうなリスク):
3) 賛成できる条件:
4) 反対になる条件:
5) 追加で知りたい情報(あれば):
当日は「決める場」に戻す:短い進行台本
会議が長いときほど、司会役(理事長)の負担が増えます。
台本を短く固定するとラクになります。
【理事会 進行メモ(当日)】
0) 今日のゴール確認(開始3分)
- 今日「決めること」を冒頭で読み上げる(議題ごとに)
1) 議題ごとの進め方(1議題あたり)
- 背景:1分(長く説明しない)
- 論点確認:1分(何で迷ってるか)
- 議論:最大◯分(タイマー推奨)
- 決定:1分(決まった内容を言語化)
- 次アクション:1分(担当・期限まで書く)
2) 脱線したときのルール
- “今決める論点か?”を確認し、違うなら「別枠(次回/別途検討)」に移す
ポイント:脱線しそうな話題を“否定”しない。
「大事だけど、今日はここを決める会議なので、別枠に置く」で十分です。
会議を短くしても“進まない”と意味がない:決定→アクションまでセット
会議が長い理事会は、終わったあとも長いです。
「決まったのに進まない」が起きると、次回で同じ説明が繰り返されます。
なので、決定事項は必ず“アクション”に落とします。
【決定事項・アクション記録】
■決定事項(何を決めたか)
-
■決めた理由(後で説明できるように一言)
-
■次アクション(決めっぱなし防止)
- 何を:
- 誰が:
- いつまでに:
- 次に何を確認する:
※「決めたのに進まない」問題は、次回(実践編)でさらに深掘りします。
具体例:修繕の議題で埋めるとこうなる
【議題】エントランス床の補修(見積3社)
■背景
- タイル浮きが拡大。転倒リスクが出始めたため、今期中に対応方針を決めたい。
■今回決めたいこと
- 今回は「A社に発注して進めるか」「追加調査を挟むか」を決める。
■選択肢
- 案A:A社(費用◯円/工期◯日/部分補修)
- 案B:B社(費用◯円/工期◯日/全面貼替)
- 案C:追加調査(原因調査+範囲確定の上で再見積)
■比較の観点
- 費用/工期/住民導線への影響/再発リスク/将来の修繕計画との整合
■論点
- 部分補修で十分か?(再発の懸念)
- 工事中の住民導線をどうするか?
- 今期予算でどこまで許容するか?
■判断に必要な資料
- 3社見積、現地写真、過去の同種修繕履歴(あれば)
■事前質問(◯/◯まで)
- 再発リスクを許容できる条件は?(保証・工法など)
- 住民影響で避けたい条件は?(時間帯・養生など)
この形で準備しておくと、当日は「説明」ではなく、論点の確認→決定に時間を使えます。
よくある詰まりどころ(現場向けの対処)
資料が当日しか来ない(管理会社都合)
理想論で責めるより、合意できる最低ラインを作るのが現実的です。
- 「会議の◯日前までに、議題名と“今回決めたいこと”だけ先に共有」
- 資料が間に合わない議題は「情報共有のみ(決定しない)」に切り替える
決めない勇気が、次回の長時間化を防ぎます。
事前に誰も読んでこない
読み切りが難しい資料は、読まれません。
そこで「見てほしい箇所」を指定します。
- 「P3の結論と、P8の費用だけ見てください」
- 「今回決めたいことはこれ。賛成できる条件/反対条件だけ書いてください」
これだけで、当日の説明パートが短くなります。
まとめ:会議前15分で効くチェックリスト
【会議を短くするための事前チェック(15分)】
□ 議題ごとに「今回決めたいこと」が1行で書けている
□ 議題ごとに「背景」が2〜3行で書けている(長文禁止)
□ 資料は「見てほしい箇所」が指定されている
□ 事前質問の締切が設定されている
□ 当日の進行は「背景→論点→決定→次アクション」になっている
□ 決定事項はその場で「担当・期限」まで書く前提になっている
まんくみの位置付け
会議を短くするコツは、会議中に頑張ることではなく「会議の入口」を整えることです。議題・背景・資料・決めたいことが事前に揃っているだけで、会議は“説明の場”から“決める場”に戻ります。まんくみが目指しているのも、この「会議の型」を、理事の善意や記憶に頼らず続けられる形にすることです。
